Googleアナリティクスでショップサイトを改善する(基礎編)

Googleアナリティクス、使っていますか?
用語はカタカナが多く理解しづらい上に、多機能すぎて何から手を付けていいのか分からず、導入したもののほとんど活用しない、なんてことも多いように思います。

アクセス解析の主な目的はサイトの成果を上げることです。
ネットショップにおいては売上の改善とページの改善(SEOを含む)になります。

そのためには、Googleアナリティクスでサイト分析をして、仮説に基づいて施策を立てて、実行するまでの一連の改善プロセスが非常に重要です(巷でよく聞くPDCAサイクルというあれです)。

PDCAサイクル


Googleアナリティクスの解説は書籍一冊分になるほど量が多いので、基本操作は入門書でインプットしてください。

ここでは入門書を読み終えた方を対象に、Googleアナリティクスのより深い理解と使いこなしに役立つ情報をまとめました。
例を入れていますので、目標や施策を立てる際の参考にどうぞ。

第一回目の今回は基礎知識のおさらいになります(全三回)。

Googleアナリティクスの概要

Googleアナリティクスでアクセス解析できるものは、以下の5つになります。

  • リアルタイムでユーザーのアクセスを確認できる(機能は限定的だが)
  • どんなひとが。ユーザーの種類(デバイスごと)、ユーザーからのサイト評価
  • どこから。流入元(自然検索、SNS、広告など)、集客に役立った参照サイト
  • どう行動して。ユーザーのページ間の移動、ダウンロード数やクリック数の計測
  • どのようにコンバージョンしたか。目標・売上がどのようにして達成したか

Googleアナリティクスの左側のメニューには、異なる切り口でデータを分析できるように区分分けされています。Googleアナリティクスでは区分分けされた各ページをレポートと呼びます。

サイト分析によく使うレポートは「ユーザー」「集客」「行動」「コンバージョン」です。

メニュー項目が多く面食らいますが、頻繁にさわっていると次第に慣れてきます。なんでも試すことが大事だと思います。
メニュー項目は関連性ごとに各レポートに分類されていますので、見たいデータはどのレポートの関連か考えながら覚えていのがコツです。

使いこなしに必要な用語

マーケティング用語など

ランディングページ…流入して最初に到達したページ。「行動」レポートで見られます
コンバージョン…目標達成の意味。ネットショップでは注文完了してもらうことです
トランザクション…決済処理の意味。「コンバージョン」レポートでトランザクション関連データを見られます
セッション…サイトを訪問して離脱するまでの一連の操作。セッション数はざっくりとサイトの訪問回数

ビジネス…社会に価値を提供して顧客を創造する活動
KGI(Key Goal Indicator)…ビジネス達成のための数値目標。ネットショップでは売上
KPI(Key Performance Indicator)…目標を達成するための関連した指標

売上アップを目標とする場合は、売上=訪問回数×購買率×平均単価 に分解して考えます。
訪問回数は「ユーザー」レポートの「セッション」
購買率は「コンバージョン」レポートの「eコマースのコンバージョン率」
平均単価は「コンバージョン」レポートの「平均注文額」で確認できます。
これらをKPIにしてサイト分析して、実行した施策を評価します。

他にもいろいろな指標(KPI)が考えられます。
売上アップさせるために何をどうすればいいか、ということをもっと掘り下げていくだけです。

たとえば、検討の結果、ある商品の販売数を2倍に増せる余地がある判断して、そのことで売上が10%アップするのでしたら、施策を立てて実行します。実行後、売上とその商品の販売数を指標にして、施策の効果を検証することになります。

アナリティクスのアカウント、プロパティ、ビュー

アカウント、プロパティ、ビューは階層構造になっています。使い分けは以下のとおりです。

アカウント…会社ごと
プロパティ…別サイト、別ドメイン、集計単位が別な場合
ビュー…見たいデータをフィルタで選別する場合

Googleアナリティクスの公式サイトではビューは少なくとも、raw(フィルタを適用する前の生データ)、master(本番用)、test(テスト用)の3つに分けることをおすすめしています。

計測データはデータベースに登録されると書き換えることができないためで、生データに近いビューを一つ置いておくをおすすめします。
フィルタを追加すると、以前のデータと条件が同じでなくなり、過去との比較が行いにくくなるためです。

アナリティクスのレポート内にあるデータ表

ディメンション(縦軸)…高度な分析に役立つデータセットの属性。分析の切り口
指標(横軸)…主にディメンションに関連するデータセット内の数字。セッション数、直帰率などの数値

データ表の一例

上のデータ表では、チャネルごとのセッションや、チャネルごとの直帰率などを見ることができ、「ディメンション」ごとに「指標」を見るという関係になります。
目標を設定している場合は、指標としてコンバージョンを見ることもできます(後述)。これがわりと重要。

データ表の上部にある「プライマリディメンション」で参照元/メディアなどに変更できます。「セカンダリディメンション」で、縦軸をもう一つ追加できます。さらに細かい情報に掘り下げることができます。

直帰率で並べ替える場合は、「並び替えの種類」を「荷重」に変更可能です。セッションが多く直帰率の高いもの=重要度の高いものを上に、並び替えてくれます。

集客レポート内のチャネルとメディアの違い

チャネル…Organic Search、Paid Search、Referral、Social、Direct、Display、Other、Advertising、Email
メディア…organic、cpc、referral、(none)

「チャネル」よりも細かい区分で分析が必要な場合は「参照元/メディア」を確認します。
たとえば、「チャネル」のOrganic Searchでは検索エンジンのすべてが集計されますが、「参照元/メディア」では検索エンジンのGoogleやYahooごとに分かれて表示されます。

アナリティクス関連の知識

・トラッキングタグ
Googleアナリティクスの最新版はgtag.jsです(以前の版はanalytics.js)。使っている版によって、書式が異なるので書籍やマニュアルを読むときは注意が必要です。
トラッキングタグはウェブサイトの <head> 開始タグの直後に設置するのが推奨されています。

・ビュー
新しいビューを作成すると、ビュー作成以降のデータが計測・集計されます。
フィルタをビューに適用すると、フィルタ作成以降のデータに影響が出ます(それ以前のデータは影響しません)。

・セッション
ユーザーがサイトで(デフォルト時)30 分以上操作を行っていないか、ブラウザのウィンドウを閉じたとき、再訪問した際には新しいセッションになり、セッション数もカウントされます。

使いこなすために必須な設定

Googleアナリティクスを利用するために必要なものが2つあります。
・Googleアナリティクス アカウントの作成(作成にはGoogleアカウントが必須)
・サイトにトラッキングコードを設置

上記の計測準備が終われば、Googleアナリティクスの機能すべて使うために必要な設定を行います。

ビューの設定

管理>ビューの設定
・除外する URL クエリパラメータ(Facebook経由の参照元URLのfbclibを取り除く場合など)
・通貨(日本円)
・ボットのフィルタリング(オン)
・サイト内検索のトラッキング(オン)カラーミーショップの場合、クエリパラメータは keyword

自分を除外するフィルタ

管理>フィルタ
自分のアクセスを集計しないようにします。
「フィルタを追加」して、IPアドレスで除外します。上から順にフィルタが適用されますので、並べ替えが必要なときは「フィルタの順序を割り当て」ます。

Search Consoleと連携

集客>Search Console
集客に役立った検索キーワードを見ることができます。
SEO対策やユーザーのニーズを読み取る場合に参考にします。

検索キーワードの一例

eコマースの設定

管理>eコマースの設定
対応しているかショッピングカート次第です。
カラーミーショップの場合はレギュラープラン以上の契約が必要で、拡張eコマースは使えません。

クロスドメイン

管理>トラッキング情報>参照元除外リスト 
ショップサイト(独自ドメイン)とカートシステムのドメインが別になることがあります。クロスドメイン設定を行わないと別々のサイトとして集計され、eコマース関連のデータが正常に取得できません。

カラーミーショップの場合、独自ドメインを利用しているショップはカラーミーショップ側で設定が必要です。
参考)Google Analytics eコマース設定 | ネットショップ開業マニュアル | カラーミーショップ

その他Googleサービスとの連携

プロパティ設定>広告向け機能 ほか
「インタレスト カテゴリ レポート」や広告の「クリック数」など、アナリティクスのみでは表示されない指標を見ることができます。
Google広告、Google AdSenseなどを利用している場合はリンク設定をします。

ユーザー権限

管理>ユーザー管理者
プロパティ、ビューごとに設定できます。
管理者以外にも見る人がいる場合に設定します。

目標をかならず設定する

管理>目標
目標のタイプは5つ。到達ページ、滞在時間、セッションあたりのページビュー、イベント、スマートゴール(Google広告)。

目標は1ビュー当たり20個までで、設定すると消せませんが上書きはできます。過去にさかのぼって計測・集計しません。
集計結果は「コンバージョン」レポートから確認できます。

目標の例をいくつか挙げます。

到達ページを目標にする

例)「ご注文ありがとうございました」 の注文完了ページは最重要目標で、どのショップでも目標(到達ページ)を設定すべきです。

到達ページは、URLのうちドメイン名直後の / 以降を書けばOKです。
「等しい」「先頭が一致」「正規表現」が選択できますので、URLが固定でない場合は、「先頭が一致」か「正規表現」を選びます。

目標が到達ページの場合は目標達成プロセスという機能があります(カゴ落ちを見たりするのに使えます)。

それに似た別の機能でゴールフローというものもあります(コンバージョン>目標>ゴールフロー)。セグメントでデータを絞り込める分、こちらの方が分析しやすいと思います。セグメントについては次回説明します。

いずれの機能も「目標達成プロセス」を追加しておく必要があります。

参考)目標到達プロセス レポートとゴールフロー レポートの比較 - アナリティクス ヘルプ

イベントを目標にする

例)ダウンロード数やメルマガ登録数を目標にする場合は、イベントトラッキングを利用します。サイト側のリンクを下記のように編集しておくと、イベント(=クリックなどの操作)を計測できます。

gtag.js
<a href="リンク先URL" onclick="gtag('event', 'aaa', {'event_category': 'bbb', 'event_label': 'ccc'});">リンクテキスト</a>

analytics.js
<a href="リンク先URL" onclick="ga('send', 'event', 'bbb', 'aaa', 'ccc');">リンクテキスト</a>

aaa=アクション名(クリック、ダウンロード、送信、実行)
bbb=カテゴリ名(問い合わせ、資料請求、SNS)
ccc=ラベル名・省略可(トップページ下、フッター、グローバルメニュー)

イベントを計測したデータは「行動」レポートから確認できます。


例)PDFファイルを開いてもページ遷移しないので通常は計測しません。PDFファイルのリンクのクリックを把握したい場合は仮想ページビューを設定します。

下例で/pdf-page.htmlとしている'page_path':'page':の値は / からはじまる任意の文字列に変更して使います。

gtag.js
<a href="リンク先URL" onclick="gtag('config', 'UA-トラッキングID', {'page_path': '/pdf-page.html', 'page_titele': 'ページタイトル'});">リンクテキスト</a>

analytics.js
<a href="リンク先URL" onclick="ga('send', 'pageview', {'page': '/pdf-page.html', 'title': 'ページタイトル'});">リンクテキスト</a>

セッションあたりのページビューを目標にする

例)回遊性を上げることと売上アップに関連がある場合には、セッションあたりのページビューを目標にします。

注文完了が少ない場合は、ページビューを目標にするのもよい手です(たとえば、商品ページを3ページ見た、など)。
というのも、取得できるデータ数が少ない場合は施策の効果が判断しずらいためです。
ある程度のデータ数が計測できるものも目標にします。

今回のまとめ

SEO対策やGoogleアナリティクスをやっているといつの間にか、売上を伸ばすことがビジネスそのものと勘違いしてしまいます。自分のビジネスはなんなのか、心に留めておく必要があります。

さて、今回はGoogleアナリティクスを使いこなす上での最初の第一歩として、目標を設定することを見てきました。最重要ポイントです。

というのも、目標を設定すると、Googleアナリティクスの各レポートのデータ表に指標として表示されるようになるからです。
ディメンションを分析の切り口にして目標(指標)を見ると、仮説を検討する際にも、施策を立てる際にも役立ちますし、日々の分析も目標を中心にぐっと行いやすくなります。

今回はどの入門書を手に取っても書いてあるところです。
簡単にまとめて、おさらいしてみました。もっと詳細を知りたい方は検索してください。

次回はもっと踏み込んだ話題で、サイト分析と施策立案についてです。
ご期待ください。

執筆者

えいじ@naeco.jp この記事を書いた人

メーカー系情報システム部門出身の個人事業主。
自作するのが好きですぐに試したくなる、凝り性なWebエンジニア。
カラーミーショップ、モールなどのECについて記事にしています。

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