Googleアナリティクスでショップサイトを改善する(実践編)

先の分析編では、ごちゃまぜのデータで仮説も施策も立てにくい状況でした。
今回はセグメント機能を使って、データを区分分けしてみていきます。原因の調査や行えますし信憑性の高い仮説が立てられるようになります。
あとは仮説→検証を繰り返して、ゴール(KGI)への道筋を探します。

分析編の続きです。未読の方は先に目を通しておいてください。

セグメントでデータを絞り込む

A社のユーザー数が10月22日に急増したため、原因を調べることになりました。
こういうのはよくある事例では、どこかのメディアに取り上げられたことが原因だったりします。

グラフの上にある「セグメントを追加」をクリックして追加します。
あらかじめ用意されているセグメントが表示されますので選択します。
今回は以下のとおりです。

青…すべてのユーザー(セグメント区分前)
橙…参照トラフィック(デフォルトのセグメント)
緑…検索トラフィック(デフォルトのセグメント)

検索トラフィック(緑)は変動なしで、参照トラフィック(橙)が急増しています。

参照トラフィックは他サイトからのリンクのことです。
ということで、ネット上で誰かが紹介してくれただろうことがわかります。
集客>すべてのトラフィック>参照サイトで、流入元のサイトを確認します(A社の場合はTwitter経由でした)。
原因を知っておくことで、施策を立てる際の参考になります。
 

デフォルトのセグメント

新規ユーザー・リピーター、PC・タブレット・モバイルのデバイスごと、コンバージョンに至ったか・至っていないかなどがデフォルトのセグメントとして用意されています。

先の例にあったように、原因の推測を行うために、ごちゃっと混ざっているデータをセグメントで分けて分析します。
仮説を立てる際に、おおむね正しいか確認するときにも使います。
また、セグメントごとにみる指標はふだんとは違った気づきもあります。

余談ですが、一般的にはパソコンよりスマホの方がコンバージョン率が低く、「朝の電車ではスマホでチェックして、帰宅後パソコンで購入する」というようなユーザーの行動から説明されることがあります。
Googleアナリティクスには「ユーザー」レポート内にクロスデバイスという分析ページがあります。デバイスごとのセグメントとは別に、新しい発見があるかもしれません。
 

カスタムセグメント

管理>ビュー>セグメント

デフォルトのセグメントにない場合は、自分で作ります。

分析編で使った性別セグメントはカスタムセグメントです。
ユーザー属性に関連するもの、読了率プラグインのイベントに関連するもの、ページからページへの遷移を基準にしたセグメントなど、ほかにもいろいろ作れます。

セグメントはよく使いますので、ここの項目も一通りみておきましょう。

カスタムレポート

カスタム>カスタムレポート>新しいカスタムレポート

ディメンション、指標を組み合わせて、自分で使いやすいレポートが作る機能です。分析や仮説の検証に使います。

月次サマリー

「ディメンションの詳細」を「月(年間)」、「指標グループ」にKPIを入れておけば、月ごとの一覧性の高い表ができます。指標をざっとみたいときにおすすめ。
 

ロングテールキーワード

検索キーワード3語以上を集計して、ニッチな需要をみています。
正規表現の欄は以下のとおりです(下記の2→3に変えると4語以上)。

^\s*[^\s]+(\s+[^\s]+){2,}\s*$

ロングテールの活用法

ロングテールはどのショップでも使える万能法則ではありません。
ニッチな部分の売上が全体に対してどの程度か、どれくらいの影響を期待できるか、あらかじめ調べておく必要があります。

A社では、ニッチなキーワードの大部分はコンバージョンしなさそうです。
とはいえ、まれに興味深いキーワードがあって、たとえば「ECカート カラーミー 独自ドメイン」というキーワードからユーザーのニーズを読み取って、どういうサービスがあれば依頼してもらえるか、サイト改善・サービス改善のヒントに使っています。

「ECカート カラーミー 独自ドメイン」というキーワードですと、SEO・メディアEC・オウンドメディアを視野に入れた、ECカートの選定を念頭に置いた機能調査かも、と想像します。

カスタムディメンションとカスタム指標

管理>プロパティ>カスタム定義

トラッキングコードに書式を追加して、Googleアナリティクスにデータを送信して、レポート上で使います。
ページから取れるデータは大体送信可能だと思います。

たとえば、ブログ記事の執筆者をアナリティクスに送信して、執筆者と直帰率の関係をみたりできます。

Googleアナリティクスには範囲(=スコープ、データの集計単位)というものがあって、カスタムディメンションの設定時にはユーザー、セッション、ヒット、商品のいずれかのスコープと紐づける必要があります(カスタム指標はヒット、商品)。

データの集計単位によって、それに紐づいているディメンションや指標が表示できたり・できなかったりします。
表示がうまく行っていないときはスコープの問題かもしれません。

ピボット

レポートのデータ表にある右上のピボットボタンで、3つのディメンションを組み合わせて表にできます。

下例では、チャネル、アフィニティカテゴリ、ユーザータイプ(新規・リピーター)の3つのディメンションと、性別セグメントでデータを分析しています。細かい分析が必要な際に使います。

A/Bテストでとりあえず試してみる

ダッシュボード>行動>ウェブテスト

Googleオプティマイズと連携して、GoogleアナリティクスでもA/Bテストの結果をみることができます。
A/Bテストを試すにはGoogleオプティマイズを導入します(わりと簡単)。

Googleアナリティクスでは仮説→検証を繰り返しながらサイト改善していきますが、A/Bテストはそれほど仮説にこだわる必要はありません。

ボタンの色を変えることでコンバージョン率が上がらないかな?くらいの思い付きで試してみたらいいと思います。
ナビゲーションで試して回遊性をみるのも良いと思います。

以前に記事を書きましたので参考にどうぞ。

施策と目標値を決める

いろいろなデータを分析して、問題点などを検討して、施策を考えます。
延々と悩んでも始まりませんので、まずは気がついたところから着手してみることだと思います。

売上アップを目標にする場合は、実現可能な範囲で、目標値を考えます。

たとえば、月間売上100万円→120万円にするとしたら、どういう施策でどの指標を改善して売上アップを実現しましょうか。
・露出を増やしてサイトへの流入を増やす(広告、その他)
・コンバージョン率を上げる(カートに入れやすい工夫)
・平均単価を上げる(送料無料、セット販売、ナビゲーション、回遊性など)
・リピート率を上げる(CRMツール導入など)
など。

実際には「サイト流入を10%アップかつコンバージョン率を10%アップ」のように複数組み合わせて、具体的な施策と指標の数値目標を決めます。

数値目標を決めていれば未達成時に、仮説が悪かったのか、施策が悪かったのか、予想値が下回ったのはなぜか、検証することが可能になります。

これを繰り返すことで、自分たちの中にサイト改善の経験が蓄積していきます。最初は大変ですが、少しずつ慣れていきましょう。

Googleアナリティクス まとめ

Googleアナリティクスを使ったサイト改善は、以下の3つが重要です。
・数値目標を設定すること
・結果を検証すること
・試行錯誤すること

定説のように言われていることでも、自分のサイトには当てはまらない、ということはよくあります。
サイト改善は数多くの仮説→検証を繰り返しながら、地道に進めてしていくものだろうと考えます。

こういう手間のかかる点が、Googleアナリティクスの分析を後回しにしてしまう理由ではないでしょうか。

執筆者

えいじ@naeco.jp この記事を書いた人

メーカー系情報システム部門出身の個人事業主。
自作するのが好きですぐに試したくなる、凝り性なWebエンジニア。
カラーミーショップ、モールなどのECについて記事にしています。

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